【SVシングル S17 最終558位 レート1925】ディンルー心中、午前四時

【SVシングル S17 最終558位 最終レート1925】

 

「ディンルー心中、午前四時」

 

TN:roka

 

【1.はじめに】

レギュレーションGから伝説解禁ということで、SVからの新参者の私は伝説ポケモンについて一から学ばねばならず、当面は苦しいシーズンになるだろう、という気がした。そこで、いったんシーズン17をここまでの集大成と位置づけて、何としても三桁はとろうと決意した。

シーズン序盤は、これまで使ったことのないポケモン(テツノワダチ、ドヒドイデラティアスなど)を試したが、どれも安定しないか、全く勝てなかった。色々な構築を使ってみる中で、結論として出たのは、誰を使えば勝てるのか、ということを判断する力は、私にはない、ということだった。これだけ書くといささか絶望的な物言いになるので、「少なくとも今は」というエクスキューズをつけてもいいが、何にせよ、これを謙虚に受け入れた上で勝負すべきだと思った。

誰を使えば勝てるのかがわからないなら、誰と戦えば後悔が残らないのか、を考えるべきである。抽象的だが、それが今回の構築の出発点であった。

そして、私にとってその誰かとは、ディンルーだった。

 

【2.構築の経緯】

正直、今回は、構築の経緯も何もあったものではない。最終日の〆切数時間前までは別の構築を使っていたからである。ただ、ディンルー&ブリジュラスの軸とする方向性はシーズン通してほぼ一貫してため、一応、記すことにする。

シーズン11からシーズン15までADチョッキディンルーを使い続けてきたが、前シーズンは鉢巻ディンルーを軸に戦い、もう少し取り巻きを整えれば強い気がしたので、今シーズンは鉢巻ディンルーとHBチョッキブリジュラスをほぼ毎試合選出して対戦を重ねていた。しかし、最終日の戦績が思わしくなく、メインロムが五桁まで落ち込んで、完全に死んだ。そこで、5シーズン使い込んだチョッキディンルーと心中することに決め、午前四時、急遽、構築を組み直した。

ディンルーをチョッキにしたことに伴い、HBブリジュラスを食べ残しに変更。ディンルーで特殊に対面で勝ち、ブリジュラスに物理の対面で勝つ、ということを基本線とした。

この両者は、基本的に初手で出したくない。ディンルーが初手で物理とぶつかるとしんどいし、ブリジュラスが特殊とぶつかっても然り。求められるのは安定した初手枠であり、初手枠+ディンルー+ブリジュラスが基本選出になる。

ほぼシーズン通じて最も多く初手で選出していた、アンコール持ちのHBベースの炎オーガポンが初手枠の第一候補。

この基本選出だと霊獣ランドロス入りに何もできないため、初手でランドロスを奇襲で葬れる、かつ、相手がランドロスでなくてもある程度の仕事が出来る氷テラバースト襷イーユイが初手枠の第二候補。

オオニューラ入りに初手で出せるポケモンがいなかったので、オオニューラが襷でも耐久振りでも突破できる、かつ、他のポケモンに対してもある程度勝負になるサイコショック搭載ハバタクカミ@ジャポの実が初手の第三候補。

浮いたポケモンがいないのが気になったので、おそらく選出しないだろうと思いつつ、カイリューを弱点保険で採用。

育成と練習を一時間ほどでこなし、これならいけるかもしれない、とサブロムから潜って、何とか三桁に滑り込んだ。

 

【3.構築のコンセプト】

ディンルーで特殊に、ブリジュラスで物理に対面的に殴り勝つ。

構築単位でステロが刺さっているように見えて、まるで刺さっていない基本選出をすることで、相手の想定をずらす。

 

【4.メンバー紹介】

①ディンルー@突撃チョッキ
※特性:災いの器
※性格:意地っ張り
努力値:H0/A252/B4/C×/D252/S0
※技構成:しっぺ返し、地震、ヘビーボンバー、地割れ
※テラスタイプ:フェアリー

長きに渡る相棒となった構築の軸。
ムーンフォースやらハイドロポンプやらブラッドムーンやらを余裕で耐え、相手のプランを崩壊させる鹿の化け物。
AD極振り、特殊相手に限定して考える限り、異常な対面性能を誇る。
特に、環境トップのハバタクカミに対して、眼鏡だろうが襷だろうがブーストエナジーの耐久振りが甘えてこようが、テラスを切らずに対面で負けない点が素晴らしい。
ほぼ全試合に選出した。
技構成は、汎用性の高い地震、対ハバタクカミ兵器のヘビーボンバー(これがないと耐久振りが甘えてきたときに怪しくなる)、カイリューやウーラオスに不意に抜群をつけるテラバースト、最終兵器の地割れ。

地割れは、月の光ガチグマ、持久力ブリジュラスに主に撃つ他、ママンロンゲ絡みの構築のサイクルを崩壊させる切り札でもあった。何より、もうどうにもならない、となったときに常に三割の勝ち筋が残されているのが強すぎた。
ラスタルはディフェンス面だけを考えれば毒がよかったが、ブリジュラスとコンビで運用する以上、地面弱点が一貫するのを避けたかったため、無難にフェアリーとした。

 

②ブリジュラス@食べ残し
※特性:持久力
※性格:腕白
努力値:H252/A0/B252/C×/D4/S0
※技構成:ドラゴンテール、ヘビーボンバー、ボディプレス、イカサマ
※テラスタイプ:水

ディンルーの相棒。
シーズンのほとんどをチョッキで運用しており、そのときはドラゴンテールではなくミラーコートを採用していて、物理にも特殊にも対面で強いのが偉かったが、ディンルーをチョッキに変更したことに伴い、やむを得ず食べ残しに変えて、対物理に特化した性能になった。
ディンルーで特殊を突破した後にカイリューが出てきて竜の舞を積む、という展開が非常に多いため、そこに刺さるイカサマが非常に強力だった。ドラゴンテールだけでは、相手がラスト1体の場合、意味がない。
ドラゴンテールは相手を流す目的というよりは、交代読みで相手の交換を無に帰すために主に撃っていた。
同じくヘビーボンバーもメインは交代読みだが、最終戦はウーラオスの水流連打を受けた後でハバタクカミへの交代読みヘビーボンバーが決まって勝ったので、ピンポイントになるが入れた価値はあったと思っている。

 

③オーガポン@竃の面
※特性:かたやぶり→面影宿し
※性格:腕白
努力値:H236/A28/B212/C×/D4/S28
※技構成:ウッドホーン、蔦棍棒、岩石封じ、アンコール
※テラスタイプ:炎

HBベース、調整はどこかからの盗用。最も多く初手に投げた。

連撃ウーラオス、パオジアン、ディンルーなど、多くの初手枠に対して不利をとらない。陽気鉢巻パオジアンの悪テラスタル噛み砕くを八割以上耐え(意地っ張りだと三割程度になる)、氷柱落とし+先制技でも落ちないので、岩石封じから入ることで、ある程度安定して(怯みを除けば)パオジアンを処理できる。

初手ハバタクカミとの対面は、絶対にムーンフォースが飛んでこないのでディンルーバックが安定し、同じくイーユイもだいたい悪の波動なのでディンルーバックが安定、そういう意味でもこの構築の初手枠として優秀だった。

遅いため、上からアンコールで縛る、みたいなことはやりにくいが、相手のディンルーのステロに対して撃つなど、それなりに活用する場面はあった。


④イーユイ
※特性:災いの珠
※性格:控えめ
努力値:H4/A×/B0/C252/D0/S252
※技構成:悪の波動、噴煙、オーバーヒート、テラバースト
※テラスタイプ:氷

ランドロス入りを強引に突破するために採用したが、実際にやったことは相手の襷ランドロスに岩石封じで突破されたことと、初手カイリューをテラバで吹き飛ばしたことだった。何とも言えない。

ただ、相手のポケモンにステロ撒きがいないときは、裏から出すことで襷を想定しない相手の動きに刺さることもあり、その運用の方が強いようにも感じた。

が、いかんせん突貫工事の急造構築のため、裏から出すのはディンルー&ブリジュラスとほぼ決めており、襷イーユイを器用に使う練度に達する余裕はなかった。

 

⑤ハバタクカミ@ジャポの実
※特性:古代活性
※性格:臆病
努力値:H84/A×/B236/C52/D4/S212
※技構成:シャドーボールムーンフォースサイコショック、挑発
※テラスタイプ:ノーマル

ボックスにいた個体。調整はまたしても盗用。

オオニューラに対してサイコショックを撃つ専用兵器のつもりで入れた。実際には入れてから一度もオオニューラに当たらず、選出ゼロ。本当ならキラフロルに対してもある程度何とかなるように調整したかったが、何しろ時間がなかった。

ラスタルはどうせ切らないだろうと思っていたが、一応ゴースト技をすかせるノーマル。

 

カイリュー@弱点保険
※特性:マルチスケイル
※性格:勇敢
努力値:H244/A204/B60/C0/D0/S0
※技構成:神速、アイアンヘッド、けたぐり、冷凍ビーム
※テラスタイプ:鋼

ボックスにいた個体。調整意図はもうわからない。

一度しか選出しなかったが、その一試合は初手化身ランドロスに挑発されて(なぜ?)冷凍ビームで突破した後に、ハバタクカミにムーンフォースを撃たれて弱点保険を発動からのアイアンヘッド、と大活躍した。上手くいきすぎ。

浮いたポケモンが構築にいないのと、基本選出がステロを全く苦にしないので、オーガポン・イーユイ・カイリューといれば、ステロ撒きたくなるんじゃないの、ステロ撒いてほしいな、という願望から入れた。

 

【4.重い相手】

○初手ガチグマ

裏から出てくればディンルーで戦えるが、初手で荒らされるとどうにもならない。特に、ノーマルテラスタルブラッドムーンをオーガポンに対して初手でぶっ放してくるガチグマにはほぼ全敗していた。

 

○持久力ブリジュラス

自分で使っていながら、相手にするときつかった。特に、初手オーガポンが相手の連撃ウーラオスと対面し、ウッドホーンを撃ったらブリジュラスに合わされる、という展開が苦しい。その場合、相手はいきなりボディプレスを撃ってくるよりは電磁波やステロの展開が多いため、強引にディンルーを出してテラスを切り、地割れが2回以内で当たることを祈るしかなかった。

 

○チオンジェン

身代わりがなければディンルーの地割れだが、そんなのだいたいある。オーガポンなら宿り木を拒否できるものの、イカサマが痛いのと、オーガポンを初手に出せないことで初手がきつくなる展開もあった。

 

○ウネルミナモ

あらゆる特殊に対面で勝てると思い込んでいたディンルーが唯一、なす術もなく負けたのが、晴れパの水テラスタルウネルミナモ(たぶんスカーフ)のハイドロスチームだった。こちらもテラスタルを切っていたが、七割くらい削られて度肝を抜かれた。何だあれ。

 

【5.終わりに】

SVからランクバトルに参加して、シーズン17を数えた。

正直、朝起きて、昨夜の連敗を思い出し、「何かもう潜りたくねえな」と感じる日もないではなかった。それでも、仕事が終わって、YouTubeポケモン関連の動画を見ると、また潜りたくなっている自分がいた。ポケモン対戦というのは、様々な配信や構築記事を含めてひとつの文化であって、上手く言えないが、それをとても素晴らしいと思う。

正直、今までのシーズンの中でも屈指の急造構築で、よくこんなので三桁に残れたと思う。ひとえに、長きに渡って苦楽を共にしたディンルーの練度によるところが大きい。

今日から環境は大きく変わるが、シーズン1が終わったときに強く抱いた単純な感情、いい大人が一生持たずに終わる可能性もあった感情、もっと強くなりたいと、それがいつしか汚れて磨り減って、欠片程度になったとしても、ポケモン対戦を続ける限り、忘れずにいたい。

最後まで読んでくれたなら、ありがとうございました。