【SVシングル S4 最終333位 最終レート2025】
「吸血鬼は三桁の夢を見るか」
TN:husky
【1.投稿の経緯】
スカーレット・バイオレットは、実に十年以上の時を経てのポケモンであった。
フェアリータイプの存在すら知らない無知の極みであった私は、シーズン1、ゆるく知識を詰め込みながら勝ったり負けたりを繰り返し、27216位でシーズンを終えた。
とても楽しかったが、結果については「まあ、こんなもんかな」と大した感想もなくシーズン2を迎えたその日、You Tubeで、シーズン1最終日のバンビーさんといろはさんの対戦動画を見て、胸が熱くなった。
レベルは違うけれど、「私ももっと強くなりたい」と子どものように思えた。
いい歳になって、何であれ、成長したいと心から思えたことは幸運なことだと思う。
そこからは、我ながら、まずまず熱心に勉強した。
ほとんど毎日欠かさず動画を見て、構築記事を読み漁った。
You Tubeという装置によって手軽に多くのプレイヤーの対戦を見たり考え方を知ったりすることが出来たのは、本当に助かった。
四桁順位を目標に挑んだシーズン2は、6612位。
三桁順位を目指したシーズン3は、1428位。
そうして迎えたシーズン4、三桁の達成記念に、本稿の筆をとった。
今シーズン、特に一桁、二桁の方々との勝負には、一戦一戦、胸が躍った。
心の底から楽しかった。
私にとってはまだまだ雲の上の方たちだが、雲が指先に触れるくらいのところまでには来られたように思う。
シーズン2の序盤、数々の構築記事を読みながら思っていたことは、「私もいつかこういうのが書けるような順位がとりたいな」ということであった。
それは、いい歳をした大人が抱くことが出来た小さな夢であって、その「いつか」が案外と早く訪れたことに、今は大変な喜びを感じている。
勝手に参考にさせていただいた動画配信者の皆さん、
構築記事を書いてくださった皆さん、
対戦してくださった皆さん、
ありがとうございました。
この場を借りてお礼を申し上げる。
【2.構築のコンセプトと経緯】
基本的には「耐えて殴る」の対面構築である。
敢えて対面構築を選んでいる、というよりは、サイクルを器用に回す技量が私にないため、今はこれしか出来ない、というところから構築が始まっている。
一時期流行った「セグカミラッシャ」を標榜しながら、実のところ、「あなたの思うようなセグカミラッシャじゃあないわよ」というのがコンセプトである。
シーズン2、3でときどき二桁の順位の方たちと対戦できるくらいのところまで行き、感じたのは「上に行けば行くほど変な型が出てくるな」ということだった。
いくら強いポケモンを並べたとしても、型がバレている、というのはやはり、大きな瑕疵なのだろう。
最低二体は型の読まれにくいポケモンが要る気がするわね、とこの素人は考えた。
そこで、シーズン2からずっとうちで活躍してきたADチョッキフルアタヘイラッシャは、対面性能の高さ、型の意外性、私自身の練度、どれをとっても申し分ないと思い、これを構築の組み始めとした。
シーズン2、3の経験から、こいつはやれるという確信があった。
続いて、どう考えても対面で強いとしか思えなかった硬いタイプのビルドレ型コノヨザルを物理アタッカーに、
頑丈という行動保証つきの眼鏡ジバコイルを、速い相手は耐えて殴れる、遅い相手は上から叩ける特殊アタッカーに採用。
ここでセグレイブをこれまた対面に強い襷枠として採用したが、構築単位で見たときに、「チョッキと言えば」枠のセグレイブとジバコイルがヘイラッシャの型を隠匿する役割を担っていて、その両者が構築に入っていながらまさかヘイラッシャがチョッキとは、お釈迦様でも気づくまいて。と、私は自身の思いつきに有頂天になっていた。
二体目の特殊枠には、ハバタクカミをHBベースのドレインキッスという妙な型で採用したが、これはもこうさんがYou Tubeで配信していた型の丸パクリである。
私は何のゲームでも「HPを吸いとる」という行為がなぜか病的に好きで、使ってみたくてたまらなくなって採用したが、これが相当強かった。
ここまで浮いたポケモンが構築に皆無で地面が一貫しすぎていたため、最後の枠にはキング・オブ・ザ・対面、(考えてみれば十年前に同じ型を使っていた)シンプルな鉢巻神速カイリューを採用して、構築が完成した。
【3.メンバー紹介】
①ヘイラッシャ@突撃チョッキ
※特性:天然
※性格:意地っ張り
※努力値:H0/A252/B0/C×/D252/S4
※技構成:ウェーブタックル、地震、ヘビーボンバー、地割れ
※テラスタイプ:悪
ADチョッキフルアタ、人呼んで(私が呼んで)死屍累々ヘイラッシャ。
物理受けの皮を被った対面の鬼。
最終的な選出機会はそこまで多くなかったものの、間違いなく今シーズンの躍進の立役者でいらっしゃった(ヘイラッシャだけに)。
「物理受けだろ」とのこのこ出てきた特殊アタッカーを片っ端から葬りつつ、物理に対してもある程度の仕事ができる。
特にハバタクカミに対しては無類の強さを誇り、眼鏡ハバタクカミがフェアリーテラスタルして撃ってくるムーンフォースすら余裕で耐えて、ヘビーボンバーで確殺する。
何百体のハバタクカミを葬ったかわからない。
相手がヘイラッシャの型を誤認することでプレイングを狂わせ、本来の不利を覆せた試合も少なくなかった。
天敵は水ロトムで、マジで何も出来ない上に、構築的に地面がおらず、ボルチェンでやりたい放題やられるため、水ロトム入りには基本的に選出を避けていた。
技構成は、
打点の高いウェーブタックル(耐久を維持するためにアクアブレイクを採用していた時期もあるが、火力が足りないのと、自身が天然のため追加効果が無駄)、
サーフゴーを筆頭に、有象無象に撃てる地震、
全てのハバタクカミを葬るヘビーボンバー。
残りの一枠は、雪雪崩と地割れを入れ替えながら使っていた。
雪雪崩は、テラスタルを切らずに突っ込んでくるカイリューとガブリアスに致命傷を与えられるが、そういう場面は多くなかった。
地割れは決して好きな技ではないが、初手から巨剣突撃で突っ込んでくる失礼なセグレイブを確殺できるのと、ヘイラッシャミラー用、何より、どんなに不利な状況でも三割で勝ち筋が残されているという魅力には抗いがたかった。
試行回数の少ない地割れで勝ちを拾った試合の後、偽善者の私は、必ず「すみませんでした」とテレビ画面に頭を下げていた。
テラスタイプは悪。
シーズン中、他には草と地面のテラスタルを使っていて、どちらも強かったのだが、目の前で悠然と瞑想を積んでくるクエスパトラにあまりに腹が立ったため、「アシストパワー?効かねえよ!格闘テラバースト?こちとらチョッキだよ!」ということをやるためだけに、悪テラスタルを採用。
採用してから気づいたのだが、テツノツツミと渡り合えるのは、草や地面にはない魅力であり、特にラストのタイマンでテツノツツミを破って勝ちを拾った試合はいくつかあった。
シーズン2からずっと使ってきた構築の軸だが、今回も引き続き、先発に、中継ぎに、抑えに、とフル回転の活躍で、この絶妙にダサい寿司屋の大将が、私は大のお気に入りである。
②コノヨザル@食べ残し
※特性:やる気
※性格:腕白
※努力値:H188/A4/B252/C×/D4/S60
※技構成:憤怒の拳、ドレインパンチ、ビルドアップ、挑発
※テラスタイプ:水
うちの吸血鬼(HP吸うやつ)その一。
「耐えて殴る」というこの構築のコンセプトの権化のようなポケモン。
素早さは抑え気味の代わりに硬い、ビルドレ型コノヨザル。
抜群の安定感を誇り、マジで強かった。
憤怒の拳という反則的な技と耐久振りへの相性がよく、セグレイブやキョジオーンに対してもわりに勝負になるのと、受けに対して上から挑発を撃ってビルドを積み、アーマーガアすら突破できる、という具合に、際どい試合をこの子のおかげで何度も拾えた。
また、構築の中で催眠対策になり得るのがコノヨザルのみで、催眠野郎がいる相手には必ず投げて、丁寧に運用することを心がけていた。
素早さの調整ラインは、アーマーガアの上さえとれればいいと割り切ってもっと下げてもよかったのかもしれないが、大体のカイリューに対して上をとれるのもそれなりに大きく、ここは正直、何とも言えない。
技構成はシンプルなビルドレ型コノヨザルのそれ。
テラスタイプは水。
コノヨザルのテラスを炎から水に変えたのが、シーズン終盤の転換点だったかと思う。
炎テラスは、鬼火を警戒しつつゴースト技・フェアリー技の抜群を切り、憤怒の拳で殴り返す、というムーブが決まれば強いが、何しろ完璧に読まれる。
何より、ビルドを積んだ後にテツノツツミが出てきてドロポン撃たれて終わり、という負け方が多すぎた。
このパターンを何とかしない限り三桁には残れない、と判断し、セグレイブが多い環境でそんなに鬼火はポンポン飛んでこないだろうと割り切って、ほぼテツノツツミ一本のために水テラスタルを採用した。
そして、その決断は正しかったと思う。
「相手のカバルドンに初手挑発→カバルドンステロ撒けない→交代読みのドレインパンチで抜群とってテツノツツミを追い込む→ドロポンを水テラスタルで耐えて殴り倒す」
というのが必殺ムーブになり、ステロは撒かせないわツツミは倒すわ、相手のツツミの火力によっては水テラスを消費させられるわ、鬼火が通ってしまう非を補って余りある成果があった。
また、トドロクツキに対して、テラスタルを切らなければアクロバットで抜群をとられるし、炎テラスタルにしたところで地震を抜群で撃ち込まれる、ということがなくなり、ある程度勝負できるようになったのもありがたかった。
③ハバタクカミ@ブーストエナジー
※特性:古代活性
※性格:図太い
※努力値:H244/A×/B244/C4/D4/S12
※技構成:シャドーボール、ドレインキッス、瞑想、甘える
※テラスタイプ:鋼
うちの吸血鬼(HP吸うやつ)その二。
ヘイラッシャと並んで、型の意外性が強みの枠。
もこうさんが動画で紹介していた型の丸パクリ(テラスタイプは変更した)。
考案したのはもこうさん自身ではないそうだが、考えた人にも紹介した人にもマジで頭が上がらない。
このハバタクカミなくして、今シーズンの結果はあり得なかった。
この型のハバタクカミにはシーズン中、一度も出会わなかったが、なぜ使われないのかわからないくらい強かった。
速度をブーストエナジーに依存しているためサイクル戦には向かないが、対面構築の一員として使うには極めて優秀である。
HBに振ることで苦手な物理に抗いつつ、Sはブーストエナジーで補う形。
甘える&ドレインキッスで、相当な範囲の物理アタッカーに対して粘れる。
問題は火力のなさで、いかに瞑想を積むかが勝負どころ。
これをつかむのにちょっと時間が必要だったが、コツがわかると、あらゆる構築に対して投げたくなるほどの汎用性を誇った。
鉢巻ガブリアスの地面テラスタル地震、みたいな爆発力には対応できないが、大体の物理アタッカーは完全にカモで、甘えるで相手を封殺しつつ瞑想を積み、全抜きもあり、終盤のスイープもあり、数的有利をとった後に相手の物理アタッカーに甘えるを撃ち込んで退場するのもあり、と八面六臂の活躍であった。
あとは多分、全てのカイリューに対面で負けない。
ということで、カイリュー入りの構築に対しては必ず投げて、カイリュー対策をほぼ一任していた。
テラスタイプは鋼。
もともとは神速をケアしつつ火力を補えるゴーストテラスで運用していた(元の紹介動画ではそうだった)が、ドドゲザンとの対面になる機会が多く、テラスタル込みでもどういっても勝てないのを何とかするために、鋼を採用。
対ドドゲザン、全勝とはいかなかったものの、本来の不利対面をしばしば覆してくれた。
④ジバコイル@拘り眼鏡
※特性:頑丈
※性格:控えめ
※努力値:H0/×/B4/C252/D0/S252
※技構成:10万ボルト、ボルトチェンジ、ラスターカノン、テラバースト
※テラスタイプ:飛行
一番好きなポケモンかもしれない、シーズン1から手を変え品を変え採用し続けているジバコイル。
昨今ではDに厚く振ってクッションとして運用するジバコイルが流行っているようで、それも強いとは思うが、私には一撃に特化した眼鏡の方が性に合っていた。
シーズン1のように猫も杓子もステルスロック、という環境ではなくなり、代わりに毒びしが増えたことで、頑丈による行動保証が得やすくなって、出ていける機会が増えたのもありがたかった。
また、特にセグレイブが襷であると割れた時点で、ジバコイルのチョッキ&アナライズを想定して相手が動いてくることも多かったため、型誤認により有利をとれた対戦も多かった。
その破壊力もさることながら、準速のため上から殴れる範囲が意外と広いのが大きい。
耐久型のカイリューや、大体のラウドボーン(歌うやつを除く)をはじめ、アーマアガア、ハッサム、ミミズズ、あたりに上がとれるのは大変助かった。
頑丈を含めると、相当な対面性能を誇る。
マルスケの削れた遅いカイリューが呑気に羽休めをしてくるのを上からぶっ叩いて追い込む、というような場面は度々あった。
テラスタイプは飛行。
地震を完全スルーできるからそりゃ強いし、特にカイリュー対面ではこれで勝つこともあったが、メジャーなだけに読まれやすく、特にセグレイブに対しては、テラスタルを切ったら読まれて氷柱針で撃墜されるし、切らずに突っ込んだら地震を撃たれるしで、あまり安定しなかった。
なお、飛行テラバーストにそれほど使用機会はなく、強いて言うならコノヨザルやウルガモスに抜群がとれるのだが、それで勝ちを拾った試合も特になかった。
構築的に、地割れも含めたヘイラッシャにきちんと対応できるのがほぼジバコイル一択なので、ヘイラッシャ入りの構築に対してはこの子を必ず投げざるを得なかったし、ジバコを大切に扱うことを意識して試合を進めた。
一度、ヘイラッシャの地面テラスタルでボルトチェンジを封殺されて地震で返り討ちにされたことがあり、以来、ヘイラッシャに電気技を撃とうとする度にその記憶が蘇って全身が震えたが、幸いなことに、ただ一度の経験で済んだ。
こういうのもまた、テラスタルというシステムの醍醐味と言えばそうなのだろう。
⑤セグレイブ@気合の襷
※特性:熱交換
※性格:意地っ張り
※努力値:H4/A252/B0/×/D0/S252
※技構成:氷の礫、巨剣突撃、地震、竜の舞
※テラスタイプ:ドラゴン
物理エースにして、この構築の正体の隠匿役。
「チョッキと言えばこいつ」のセグレイブとジバコイルが構築にいながら、「実はヘイラッシャがチョッキでしたー」というのがこの構築のチャームポイント、じゃなかった、ストロングポイントではないかと思っている。
セグレイブというポケモンは本当にポテンシャルが高く、チョッキも強い、珠も強い、襷も強いで、大体どう使っても強い気がする。
鬼火が効かない物理アタッカーというだけでもう、強烈である。
気合の襷型の利点としては、
終盤の数的不利を単独で逆転しなくてはいけないケースで、竜の舞を積むための行動保証が得やすい点、
先手での巨剣突撃→相手の技が2倍で入るのを襷で耐えて→氷の礫、という反則的な戦法が可能である点、
テツノドクガ@拘り眼鏡with炎テラスタルがオーバーヒートを放ってきたのを襷で耐えて→熱交換発動しちゃって→返り討ちに出来る点、
などなどであった。
技構成は、巨剣突撃と氷の礫と竜の舞が確定、
地震は氷柱針との選択で悩んだが、汎用性の高さと安定性、テラスタルを切ったときの威力を買った。
氷柱針ならではの強みはもちろんあるが、イカサマダイスでない以上、ギャンブル性の高さがどうにも好きになれなかった。
しかしまあ、どうでもいいことだが、イカサマダイスというアイテムは、「ギャンブルはイカサマをした瞬間にギャンブルでなくなる」という本質を突いている気がして、何ともセンス抜群である。
テラスタイプは、最初は地面で運用していたが、シーズン中盤からドラゴンに変更。
安定性では地面だが、あまりに読まれ過ぎて、完全に相手の想定の範疇に留まるのが引っかかった。
ドラゴンテラスタル巨剣突撃の威力が尋常ではないため、相手の想定する確定数をずらす切り札としては、こちらがなかなか強かった。
が、基本的には「テラスタルを切らなくても強い枠」としてセグレイブを運用していたため、使用機会は多くはなかった。
⑥カイリュー@拘り鉢巻
※特性:マルチスケイル
※性格:意地っ張り
※努力値:H244/A252/B0/×/D0/S12
※技構成:逆鱗、神速、地震、炎のパンチ
※テラスタイプ:ノーマル
ハバタクカミが「最強」の名をほしいままにしたシーズンだったが、うちの死屍累々ヘイラッシャがあまりにハバタクカミに強かったので、私はどうもハバタクカミ最強、という印象にならずに、相変わらずカイリューが最強、という気がしていた。
(そんなこと言ってお前、カイリュー対策をハバタクカミに一任していたじゃねえか、と言われれば、まあ、そうなんだけど。)
今更言うまでもないが、型の匿名性と、個々の型の強さがあまりにも突出している。
いたってシンプルなノーマルテラスタル鉢巻神速カイリューだが、HAにほぼ極振りしている点と、炎のパンチがちょっと珍しいかもしれない。
素早さを無視して、タフに殴り合うことに特化して使い始めたのだが、実際のところ「もう少し速けりゃな」という場面があまりなく、逆に「うわ、それ耐えるのかよ」と命拾いした場面の方が多かったので、そのまま運用し続けた。
おそらく、攻撃に特化したカイリューとしては、相手の想像するどのカイリューよりも硬かったのではなかろうか。
相手のパーティが何をやってくるかよくわからないときを含めて、「困ったときのカイリュー」というか、用心棒的な役割で投げていた。
また、このカイリューを使い続けることで、素人の私が多少なりとも「技の一貫性」という方向に思考が回る訓練になった気もする。
技構成は、
とにかく私が愛してやまない神速、「きえええ」と叫んで(←カイリューが。私ではない)放つこの技が、私の最も好きな攻撃技かもしれない。
例によって無難に強い地震、
撃てる場面は限定的だが、通ることがわかればえらいことになる最終奥義の逆鱗、
時代遅れの炎のパンチ。
この炎のパンチが、流行らないだけに意外と決まる場面があり、鉢巻だけに威力も馬鹿にならない。
これがあることで、アーマーガアや、鋼テラスを切ったHB水ロトムに対しても強く出られるのが大きかった。
一度、こちらがカイリュー、相手がアーマーガアとドドゲザン、という残り方をしてしまったことがあり、ここから炎のパンチだけで撃退したときは感動した。
【4.選出と立ち回り】
対面構築である以上、選出が勝敗のかなり大きなウェートを占める。
あくまで現在の私の力で判断できる限りにおいてだが、負けた試合(200敗以上した)、体感的には、
「選出(ないし先発)ミスったな」という負けと、
「もっと上手く立ち回れば勝てたんだろうな」という、つまりプレイングの未熟さによる負けと、
「これはどうやっても勝てなかった気がする」、つまり構築段階で既に負けている(後述するが、いわゆる「運負け」もこの内だと割り切っていた)、というのが、
同じくらいの割合であったような気がする。
基本選出、という形は決まっておらず、相手の六体を見て、
「誰を誰で見るか」ということと、
先発で最悪の事態にならないこと、
誰を大切に扱わないといけないか、
ということを常に考えていた。
ただ、それがどの程度正しかったのかは、正直よくわからない。
①ヘイラッシャ
この大将が刺さりそうか、ということを選出では最初に考えていた。
主には、水ロトムがいなくてハバタクカミのいる、という条件の特殊寄りの構築に対して選出する形が多かった。
また、クエスパトラ入りの構築と、大嫌いなオニゴーリの野郎には必ず選出していた。
ハバタクカミは対面で確実に処理でき、サーフゴー、テツノドクガも見られる。
テツノツツミ、ジバコイルはテラスタルを切れば何とか、という位置。
②コノヨザル
テラスタル込みで考えれば、かなり幅広い相手と撃ち合える。
挑発でアーマーガアを起点に出来たり、キョジオーンと勝負できたり、助かりまくった。
キノガッサ、アラブルタケなどの催眠野郎対策も一任していた。
加えて、ジバコイルの頑丈をどうしても保持したい、という相手にカバルドンがいるときは、初手のカバルドンに投げて挑発を撃ち、何が何でもステロを撒かせない展開に持ち込むこともあった。
その場合、相手にテツノツツミがいると100%に近い確率で出てこられてドロポンで終わるため、水テラスタルで切り返せるプランを用意していた。
カバルドン読みが外れた場合も、初手コノヨザルが普通はビルドレ型とは思われないため、相手が型を誤認したことにより、有利な展開になりがちなのもありがたかった。
③ハバタクカミ
幅広い物理を見られる。
おそらく全てのカイリューに対面で勝てる枠として、カイリュー対策をほぼ一任していた。
相手の初手キラフロルや毒びしマスカーニャに合わせて先発で出していきなり瞑想を積み、慌てて出てきた物理に甘えるを撃ち込むと、もう止まらない。
(が、調子に乗っていたら、毒びしマスカーニャの流行がシーズン半ばくらいで終わり、トリックフラワー連発してくるのが出てきて、やりたい放題は出来なくなった。)
また、鋼テラスタルを採用した唯一の理由であるドドゲザンに対面で撃ち勝ち得るのも大きかった。
もちろん、甘える前提の話なので、相手が負けん気だと終わるのだが、幸い、その機会は一度もなかった。
ヘイラッシャ入りの構築には必ず選出していた。
特に、こちらのコノヨザルやセグレイブと相手のヘイラッシャが対面したとき、相手が地割れを放ってくることが多かったので、ジバコイルにバックして有利対面を作る、という動きが強かった。
頑丈が残っている前提だが、水テラスタルイルカマンを一撃でしとめる役割も担う。
その場合、何が何でもステロを撒かせられないので、コノヨザルで強引に挑発を撃っていた。
キョジオーン、ラウドボーンを上から叩いて追い込む枠、テツノツツミに対面で強い枠としても選出していた。
また、ハバタクカミに比較的強く出られる点も助かった。
⑤セグレイブ
襷の行動保証により対応できる相手は幅広く、先発での起用が多かった。
先発で一体持っていった後に、余裕があればバックして終盤のスイーパーを任せることもあった。
が、鋼ないしフェアリーテラスタルのHB水ロトムに対して何も出来ないのは痛く、水ロトム入りには選出を避ける形。
先発では何しろ相手のセグレイブとミラーマッチになることが多く、その場合はノータイムで巨剣突撃を撃ち込み、相手が準速でなければ襷で耐えて対面勝ち、相手が同速の襷持ちだった場合は最悪、礫の撃ち合いの運頼みに賭けていた(相手が引くことも多かった)が、これは正直、間違いだった気もする。
当然、相手が陽気セグレイブだったら終わるのだが、そんなのいねえだろ、と割り切っていた。
また、相手の初手コノヨザルとぶつかった場合、シーズン前半は面白いように命がけが飛んできたため、初手から竜舞を積んで、コノヨザルが命を散らした後には舞ったセグレイブが残ってイージーウィン、という展開がとても美味しかった。
が、シーズン中盤以降、明らかにセグレイブをメタった先発の襷コノヨザルが激増したため、先発での選出は一気に減った。
主には終盤のスイーパーとして運用。
また、相手が何をしてくるのかよくわからないときや、「もうどうしたらいいかわかんねえ」というときに、用心棒的に選出していた(困ったことに、そういう機会はかなり多かった)。
特に相手のイルカマンに対しては、ジバコとカイリューの二枚で見る、という形が基本。
鉢巻であるゆえ、神速、逆鱗、地震、炎のパンチ、いずれかが一貫する展開にどう持っていくか、ということを考えながら運用していた。
【5.雑感】
構築の決定的な弱点として、いわゆる「運負け」の多さがある。
が、これは私が不運なわけでも何でもなく、「耐えて殴り返す」という戦法を用いる以上、どうしても被弾数が多くなり、必然的に急所やひるみのリスクは上がる。
しかしまあ、「完璧な構築なんてないさ」と割り切って、私は今の私に出来る戦法で戦い続けた。
構築の大枠はシーズン3から練り上げたものであり、四凶が解禁された環境ではおそらく通用しなくなるだろうと思っていたので、死屍累々ヘイラッシャと吸血鬼コンビを中心としたこのメンバーで三桁が狙えるのは最後のチャンスだろう、という少しだけ切ない思いを抱きつつ潜っていた。
レートが2010を超え、「もう一戦だけ」と挑んだシーズン最終戦、私としては完璧な立ち回りをして、ラストに襷セグレイブ同士(同速だったはず)の礫の撃ち合いになり、「運を、天に」と漫画の主人公のように呟いてAボタンを押したコントローラーを置いたときの感動を、永く忘れない気がする。
冒頭にも書いたとおり、いい歳になった大人が、一円の得にもならない何かに対して子どものように成長と上達を志し、また、それを心から楽しめたことは、本当に幸運なことだと思う。
どれほど「運負け」と呼ばれる敗戦を繰り返そうと、その幸運だけは、揺るがないものとしていつも私の胸にあった。
最後まで読んでくれたなら、ありがとうございました。