【SVシングル S9 最終856位 レート1920】墓前でBaby, don’t cry

【SVシングル S9 最終856位 最終レート1920】

「墓前でBaby,dont' cry」―― It's just a game

TN:husky

 

 

 

【1.はじめに】

シーズン4で初めて三桁に乗った後、長い低迷が続いた。
まあ、低迷というか、もともとその程度の実力だった、ということだ。
SVからランクバトルを始めて、シーズン4で333位になり、シーズン5の十日目くらいには21位まで上がり、「これはいよいよ二桁か」とはしゃいでいた。
完全に勘違いであり、シーズン5の半ばで、自分には全くそんな力はない、ということを思い知った。
それ自体はただの事実だから、何ら問題ではない。
問題は、自信を失ったことだった。
それはわかっていたが、わかったからと言って自信が戻ってくるわけではない。
そして経験的に、勝負事で自信より大切なものはほとんどない。

シーズン5の終盤は、酷いものだった。
思いつきで日替わりの構築を転がしているだけだから、どの構築も信じられなかった。
勝っても負けても楽しくなかった。
順位は二次曲線的に下がってゆき、最終的に五桁まで落ちた。
いつからか私は、かつて自分がどうやって勝っていたのか、まるでわからなくなっていた。
選出画面を見て、全ての相手に負ける気がした。
特に最後の三日間は惨憺たるもので、何の闘志も向上心もないまま、ただただ、惰性で潜って時間とレートを食い潰していった。

シーズン6の初日、「あんな醜いバトルは二度としない」と心に誓った。
この歳になって、何か新しい分野で人と競うことに夢中になれるなんて、もう一生ないかもしれないと思っていた。
別に、それでいいとも思っていた。
そういう日々を、ポケモンのランクバトルが少し、変えてくれたはずだった。
それを汚すようなマネをしちゃいけない。
私がどんなに汚れた人間であろうと、ポケモンは汚しちゃいけない。

初心に帰って、皆さんの構築記事を読み漁り、動画を見まくった。
私はとにかく闇雲に潜りたくなる人間だが、それをこらえて対戦数を削り、代わりに構築を考える時間を増やした。
半月で二桁から五桁まで落ちるというシーズンを過ごしてしまったからには、もはやシーズン途中でどんな順位をとろうが、永遠に「もう二度と三桁なんてとれないんじゃないか」という思いがつきまとうことはわかっていた。
失われたものを取り戻すには、最終結果を残す以外になかった。
今回、何とか三桁に復帰できて、心から安堵している。

勉強になる動画を投稿してくださった皆さんに、
構築記事を書いてくださった皆さんに、
対戦してくださった皆さんに、
過去作のポケモンがない私とGTSで交換をしてくれた世界中の皆さんに、
そして、テラスタイプと型を変える余裕のない私にイーユイ・パオジアン・ディンルーを貸してくれた妻に、
(ちなみにチオンジェンは妻自身が使っていた)
この場を借りて感謝を捧げる。

 

 

【2.構築のコンセプト】

前提:対面で殴り勝つ(サイクルを回す技量が私にはない)。

○最後はイダイトウ@襷が出ていって何とかする。

○相手に軽々しくステロを撒かせない。

○安定した命中率を確保しつつ、相手に追加効果のリスクを押しつける。

○テラスタルはイダイトウ以外に惜しみなく使う。

 

シーズンを通じて、イダイトウ@襷をいかに強く通すか、ということを考え続けた。

最初から最後まで構築にいたのはイダイトウとボルトロスのみであり、構築が変わる度にパーティ名を「ボゼン(墓前)2」「ボゼン3」というふうに更新していったのだが、最終的に使っていた構築は「ボゼン29」だった。

正直、今回は「構築が完成した」というような充実感はなく、最後まで「何か違うな」という迷いを抱えながら潜り続けた。

そういう中で三桁に復帰できたことは、幸運という他にない。

そんなわけで、「構築の経緯」を語ることにもあまり意味がないと思い、割愛する。

 

 

【3.メンバー紹介】

①イダイトウ@気合の襷
※特性:適応力
※性格:意地っ張り
努力値:H0/A252/B4/C×/D0/S252
※技構成:アクアブレイクアクアジェット、お墓参り、がむしゃら
※テラスタイプ:水

シーズンを通じて使い続けた、構築のエース。
雨やトリックルームに依存することなく、こだわることもなく、イダイトウをいかに強く使うか、という問いに対するアンサーイダイトウ。
「すごい型を思いついてしまった」と浮かれていたが、全く同じイダイトウを使った方が既にシーズン8で結果を出されていたことを知り、調子に乗ってごめんなさい、と思った。

襷が削れると仕事が出来ないほどではないが、襷が残っているときの性能があまりに強烈すぎる。
普通に殴っても強いけれど、がむしゃらを持つゴーストタイプであるおかげで、普通の襷持ちでは不可能な「もう駄目だ」という状況もひっくり返せるパワーを持つ。
極端な話、3回舞われた挙げ句にマルスケまで残っている、というカイリューと対面しても、がむしゃら&アクアジェットで勝てる(ゴツメやめて)。
そういう場面はシーズン中に何度もあり、その都度私は「もう駄目だと思うことはー今まで何度でもあったー」とブルーハーツを歌いながら、舞ったカイリューを葬っていった。
この「がむしゃら+アクアジェット」は危機回避能力が素晴らしく、基本的にはラストに出ていくポジションでありながら、瞑想ハバタクカミになどに積まれて「やべえ」となったときに二番手で緊急出動することもあった。

選出の段階では、イダイトウが通りそうか、ということを最優先で考えていた。
具体的には、要するに襷が残せれば大体何とかなるので、相手が設置系の技を撒いてきそうかどうか、撒いてくる相手だったとしても、何とか撒かせずに処理できないか、ということを焦点にした。
そのために、相手が「これは悠長にステロなんて撒いてる場合じゃあないな」という圧をかけること、遅くて火力のないステロ撒き(カバルドンやドオー)にはボルトロスで挑発を撃って封殺することを徹底した。

ただし、ステロを防げずに撒かれてしまった場合でも、生来の耐久力と意外な速さゆえ、何とかなってしまう場合は少なくなかった。
なお、水もゴーストも半減するような相手(主には妖怪チオンジェン)がいるときも、基本的に選出を控えた。

イダイトウは、テラスタルを使わなくても強いのが長所のひとつだと思う(というか適応力の仕様上、テラスタルを切らない方が強い場面も多々ある)。
このポケモンがエースであるおかげで、他のポケモンに積極的にテラスタルを使っていくことが出来た。
誰にテラスタルを切るか、という選択肢の幅が、基本的にイダイトウ以外のどちらか、という二択から考えていけるのも、未熟な私には試合プランが立てやすく、助かった。

使用感としては、まるで違うポケモンだが、私が一度だけ三桁に入れたシーズン4で使っていた、大好きなCS振り切り頑丈眼鏡ジバコイルに似ていた。
行動保証が残っていれば強い、意外と速い、その割に硬い、火力がヤバい。
ジバコと決定的に違うのは、こだわらずにしかも先制技が撃てるという点で、これが本当に強かった。
大好きなジバコをリストラしたことに、私は心のどこかでずっと引っかかりを感じていたので、イダイトウにジバコの亡霊を見た気がして、この魚の幽霊が大好きになった。

8月30日にバンビーさんが襷イダイトウの動画を上げていて、おそらくそれによって一気に有名になってしまい、最終日、それまでより明らかに襷を警戒された相手の動きが増えた。
が、一方で、バンビーさんが紹介したイダイトウはがむしゃらではなく高速移動持ちだったため、それを警戒したパオジアンが不意討ちではなく氷柱を撃ってくれたりして、不意討ちを撃たれたら絶対に勝てないパオジアンに勝てることも何度かあったので、まあ、結果的にプラマイゼロくらいだったと思う。

どうでもいいけど、「お墓参り」の英語名が「last respect」だというのが面白すぎて、お墓参りを撃つ度に、私は「the last respect!」と映画の予告編のナレーションみたいないい発音で叫んでいた。

あと、これもどうでもいいけど、「偉大」な「トウ」って何だよ、と思って検索したら、「偉大」と「イトウ(魚のイトウね)」の複合らしいと知った。
目からウロコである。
魚だけにな!

 

 

ボルトロス(霊獣の姿)@オボンの実
※特性:蓄電
※性格:控えめ
努力値:H156/A×/B4/C116/D4/S228
※技構成:放電、ラスターカノン、草結び、挑発
※テラスタイプ:鋼

見た目が好きなので採用した、シビれる雷神、というかシビれさせる雷神。

努力値配分と持ち物は、シーズン8のスポンジさんの構築記事から勝手に拝借させていただきました。
ありがとうございます。
シーズン8の前半は眼鏡やスカーフで使ってみたが、動かしにくいことこの上なく、ボルトロスはこだわらない方が強いと思って襷やゴツメなど試してみたものの、イマイチ決まらなかった。が、このオボン型は素晴らしい。
スポンジさんの耐久ラインが絶妙に調整されていて、A特化水テラスウーラオスの水流連打をオボン込みでだいたい耐える、C特化眼鏡サーフゴーのシャドーボールを確定で耐える。
その上で、速さは準速ウーラオス抜き。
あと、使っていて本当にありがたかったのは、臆病C特化テツノツツミのフリーズドライを確定で耐えること。
対面でテツノツツミに勝てるポケモンがいることが非常に助かった。

技構成は、基本的に対面で殴り合う構築ということもあり、ボルトチェンジを切って挑発にした。
対象となる大体の相手の上から撃てるこの挑発が非常に有用で、イダイトウを通すためにステロを阻害する、相手の積み展開を抑止する、何かと便利だった。
「浮いている挑発持ち」というのは恐ろしく、カバルドンやドオー(毒づきとかあれば別だけど)に何もさせない。
しかもその対策は相手視点では見えないから、ボルトロスに対してカバルドンやドオーが結構な頻度で出てくる。
この「誘う相手を完封する」という動きが強すぎて、カバルドンやドオー入りの構築にはイージーウィンを連発した。
ボルトロスに対しては、相手がこだわりを想定して動いてくることもちょくちょくあり、電気技に合わせて出てきたディンルー、ガチグマなどに草結びで痛手を負わせて有利をとるなど、とても使い勝手がよかった。

メインウェポンは10万ボルトではなく、放電。
火力不足を感じる場面もないではなかったが、それ以上に三割の麻痺がヤバすぎて、本来対面で勝てない相手に素早さ逆転のおかげで勝ったり、電気技を半減で受けにきた相手が麻痺して機能停止したり、これのおかげで何試合拾ったかわからない。
命中安定である程度威力もあり、サーフゴーにすら三割のリスクを負わせられるなんて素敵すぎる。

 

 

③オオニューラ
※特性:軽業
※性格:意地っ張り
努力値:H252/A132/B100/C×/D20/S4
※技構成:インファイト、フェイタルクロー、シャドークロー、剣の舞
※テラスタイプ:ゴースト



シーズン終盤に入ってきて、構築を大きく変貌させた化け猫。

手足の長さのバランスがポケモンとしておかしい。
私はこの妖怪じみた外見がとても気に入っていて、シーズン8でノーマルジュエルとグラスシードのオオニューラを試したが、あっさり対策の網にかかって諦めていた。
しかし、8月21日、日頃から参考にさせてもらっているしざよさんのシーズン8のオボンオオニューラを参考にしたこの風船オオニューラを入れてから、構築の勝ちパターンがいっきに広がった。
この子が入ってから、イダイトウを通すか、オオニューラを通すか、というのが構築の基本線になった。

オオニューラはフェイタルクローの追加効果で勝とうとすると勝てない、という趣旨のことをしざよさんが言われていたが、その教えを守り、基本的にはフェイタルクローで何も起きなくても強い積みエースとして運用していた。
が、実際には、私のプレイングが未熟であるゆえ、「何か起きろ!」と叫んでフェイタルクローを放つ場面も多々あり、実際、当たり前だが、結構な確率で何かが起きた。

構築として、基本的にはイダイトウを通すのがプランA、オオニューラを通すのがプランBだったが、両方いけるんじゃね?というときはヒスイコンビ(下手したらヌメルゴンとトリオ)で選出することもあった。
イダイトウを通す上で、オオニューラを選出するメリットは、「オオニューラの前で悠長にステロや毒びしなんか撒いてくる相手は少ない」ということだった。
剣の舞だって警戒されるし、そもそもフェイタルクローという技は、試行回数を稼がれたくない技の最右翼だからだ。

だいたい何でも一度は耐える耐久(つまり舞える機会とフェイタルクローの試行回数)を確保しつつ、風船が割れて軽業が発動した後の異常な速度でぶん殴る。
こんなの強いに決まっているのだが、それゆえ、多方面から見えない対策がされており、やれドラゴンテールだの、やれレッドカードだの、やれサイコショックだの、やれサイコファングだの、見えていないけどおそらく隠密マントだの、決してやりたい放題やれたわけでもなかった。
しかし、高速・高火力を兼ね備えながら、常に何かを起こす可能性を秘めた不穏なアタッカーとして、十分すぎるくらい活躍してくれた。

なお、ゴーストテラスタルを切ると、神速と地震しか攻撃技のないカイリューを完封できるため、ときどきカイリューが泣きながら降参してきた。

 

 

④イーユイ@こだわりスカーフ
※特性:災いの珠
※性格:控えめ
努力値:H0/A×/B4/C252/D0/S252
※技構成:悪の波動、噴煙、オーバーヒート、テラバースト
※テラスタイプ:フェアリー

構築を救ってくれたメシア金魚。


ちなみにこのイーユイは妻が貸してくれたイーユイである。
A0個体だが、妻は特に厳選をするでもなく(というか彼女に厳選という概念はない)、一発でこのイーユイを引き当てていた。
妻の運よすぎ。

きっかけはシーズン終盤、数時間の間に一撃ウーラオス入りに五敗した日があって、「上から叩ける見えないフェアリー枠」としてイーユイを採用した。
採用当初からある程度テラスタルを切る前提で考えていて、その背景には、イダイトウが基本的にテラスタルを切らなくても強いエースである、という前提があった。
もうひとつの採用理由は、イダイトウを通す上で、相手に悠長な設置系の技を撃たせないこと。
これは構築単位の最優先事項であり、「イーユイ相手に呑気にステロなんて撒けないだろ」という思惑があったが、これは当たった。
あっという間に当時構築にいたコノヨザルを押しのけて初手枠に居座り、「初手イーユイで一匹持っていって、相手にステロを撒かせず、最後はイダイトウが何とかする」という基本パッケージが完成した。
それまで重かった初手ランドロスは完全にカモと化し、数十体のランドロスがこの金魚の前で灰になっていった。アッシュ・トゥ・アッシュ。

とにかく「こういう相手にはこうする」というプランが立てやすかった。
基本的に初手に投げて、
・対カイリューガブリアス・ウーラオス・(対面したくないけど)ディンルー → フェアリーテラバースト
・対パオジアン → テラスタルを切って、噴煙かテラバかは裏を見つつ
・対テツノツツミ → テラスタルを切って、悪の波動かテラバは裏を見つつ
・対ランドロス → オーバーヒート
・対ハバタクカミ → ヌメルゴンを選出していれば引く・いなければ、悪の波動(相手がブーストエナジーなら水テラスタル警戒)か噴煙(相手がこだわっているっぽいならフェアリーテラス警戒)
というような感じで、わかりやすくて大変よろしい。

基本的に「一直線にイダイトウに向かう」という直線的な構築だったので、構築のコンセプトという視点で見たときに、イダイトウと非常に相性のいいポケモンだったと感じる。

 

今シーズンの最終日、午前七時半くらいの最終戦は、初手イーユイと相手のガブリアスの対面で幕を開けた。

その対面ではフェアリーテラバーストと決めていたが、相手は襷で、おまけにしっかり岩石封じを撃ってきた。

素早さが逆転されたイーユイが地震で落とされても、ステロを撒かれても、その試合は負けていた。

だが、妻の強運が乗り移ったかのように、イーユイは岩石封じをよけてガブリアスを突破した後、裏のパオジアンを瀕死に追い込み、私は三桁に残った。

 

 

ヌメルゴン(ヒスイの姿)@突撃チョッキ
※特性:シェルアーマー
※性格:生意気
努力値:H236/A12/B4/C252/D4/S0
※技構成:冷凍ビーム、10万ボルト、ヘビーボンバー、地震
※テラスタイプ:フェアリー

「ハバタクカミとテツノツツミを何とかしろ、あとサーフゴーとヒードランも何とかしろ」という過酷な任務を負った軟体動物。

特性を変えた以外は、シーズン8の怠惰さんのヌメルゴンの丸パクリです。
ありがとうございました。

もともと私はヒードランが大好きで、チョッキ枠としてはヒードランを使っていた。
が、水テラスタルを切って瞑想を積んでくるハバタクカミにやりたい放題やられるので、やむを得ず変更。

圧倒的な特殊耐久はやはり魅力的で、対象に対してはきちんと仕事をしてくれた。
火力不足は否めないものの、技範囲の広さは抜群で、大体どのポケモンに対しても抜群がとれる。
有利対面で相手が誰に引いてくるのかということが比較的想定しやすいのがありがたく、交代読みで抜群を通す、という動きが強かった。

また、本来の役割対象ではないものの、シェルアーマーとフェアリーテラスタルでウーラオスとある程度戦えるのが本当にありがたく、これで何度か勝ちを拾った。
あとは、構築単位で見たときにキノガッサが(というか茸の胞子が)重く、当初は草食にしていたのだが、シーズン終盤で特に一撃ウーラオスにやられまくったことで、相手視点ではさすがに草技を押せないだろうと割り切って、シェルアーマーに変更。
いかにも草食っぽい顔をさせることで、胞子をハッタリで抑止していた。

 

ただ、シーズン最終盤にはほとんど選出の機会がなくなっており、別のチョッキ枠の採用も考えたが、構築に思い切ったメスを入れる勇気が出なかった。

 

 

⑥パオジアン@命の珠

※特性:災いの剣

※性格:陽気

努力値:H0/A252/B4/C×/D0/S252

※技構成:不意討ち、氷柱落とし、聖なる剣、テラバースト

※テラスタイプ:電気

最後に決まった枠。

というか、最終日のラスト4時間くらいしか使っていなくて、そこまで選出の機会もなかった。

ディンルーがどうにも重くて、ディンルーの選出を抑止することが構築に入れた狙いで、ほとんどフェイクに近い。

今までのシーズンで襷、鉢巻、珠、と色々なパオジアンを使ってきて、その強さはそれなりに知っているつもりでいるし、もっと強く使ってあげたかったな、という思いだけが残った。

そういう意味でも、今回は「構築が完成した」というような感慨はなく、何とかギリギリ三桁に滑り込ませた、という印象であった。

 

 

【4.重い相手】
キノガッサ
→実はこれがマジでヤバいのだが、ヌメルゴンが草食っぽい顔をしてごまかしていた。
もっとも、キノガッサの数は明らかに減っており、ほとんどあたることもなかった。


○ディンルー
→重いというか、ただ単にディンルーという存在がヤバいだけだと思うのだが、本当に苦労した。
最後までどうしたらいいかわからなかった。

○裏から出てくるパオジアン@襷

→先発で出てきてイーユイとまともに撃ち合ってくれればありがたいのだが、ラストでイダイトウとのワン・オン・ワンになると非常に苦しく、相手が勝手にイダイトウの高速移動を警戒して不意討ちをやめてくれる以外、勝ち目がなかった。

 

 

【5.イッツ・ジャスト・ア・ゲーム】
過去作の知識がなかった私は、レギュレーションDが発表されたとき、シーズン8が始まればまた三桁は遠ざかると思った(事実、そうなった)。
だから、レギュレーションCの最後、シーズン7に全てをかける気で挑んだ。
仕事の休みも重なった幸運な最終日だったが、幾度となく「ここで勝てば三桁は確定」という試合で負けて、シーズン7は1537位に終わった。
ここぞという場面での致命的な選出ミス、プレイミスもあった。
それが実力というものだ。
もうポケモンやめたい、とそのときは思った。
こんなに悔しい思いをするくらいなら、と。
終戦を終えた午前九時、床でまどろみながら、思った。
私より対戦歴の長い多くの人々は、多かれ少なかれこんな思いを、というか、もっと悔しい思いを乗り越えて、それでもポケモンが好きで続けてきたんだろうな、と。
みんなすげーな。
会ったこともない、これから出会うことすらない多くの人々に対して、よくわからない敬意みたいなものを覚えた。

覚えていないが酷い夢を見て目が覚めて、「三桁、駄目だった」と妻に言った。
「感じとしては、部活に近い」と私は続けた。
「一銭の得にもならないことに馬鹿みたいに真剣になって、もともとは楽しくてやっていたはずなのに」
そこまで言って、今はあんまり楽しくない、という言葉を、私は飲み込んだ。
私のイーユイが活躍する度に「それって妻のイーユイ?(略して)妻ユイ?」とはしゃぐ妻は、私を見て少し笑って、「そんなに真剣になれるものがあるなんて素敵ね」と言った。
それが多分、一番忘れてはいけないことなのだろう、と私は思った。

「たかがゲーム」とか、よく言うんだけど。
そんなこと言ったら、勉強だろうが仕事だろうがスポーツだろうが、私たちがむきになるもの、だいたいゲームなんじゃないの。
私はそう思う。
そういうわけで、私は今日もたかがゲームにマジになっている。
自分のふがいなさに何度苛立っても失望しても、真剣になれるものに出会えた幸運は、忘れずにいなきゃいけないんだと思う。

 

イダイトウというポケモンは、川を上る旅の途中に志半ばで散った仲間の魂をまとうのだという。
報われることなく構築から消えていった数多のポケモンたちと、胸を熱くするたかがゲームに出会えた幸運にときどき思いを馳せながら、私は激しい流れに抗っていきたい。

最後まで読んでくれたなら、ありがとうございました。